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●手づくり市@京都・百万遍
水田さん夫妻にとって、毎月15日は特別な日だ。
京都・知恩寺(百万遍)でおこなわれている「京都三大市」の1つ「手づくり市」に出店(野菜や加工品、お菓子など)している。
屋号は「水田家の食卓」。
普段、食卓に上るシンプルだけど良質のものを飾らずお出ししますというコンセプトの店。常連客もどんどん増えている。
手づくり市のよさはなんといってもお客さんとの会話だ。水田夫妻にほれた若い人が綾部を訪ね、1泊していくことも。土に触れたり、一見、自然しかないような空間に身を置くことで、恵まれている自分に気づく機会を都市の若者に提供している。
そうした活動の中で水田夫妻は若い世代に綾部に来てもらって、農的な暮らしや食を伝えるための「農家民泊」というものを本格化したいと思っている。いまはまだ部屋数がないが、自分たちの生き方にもっともふさわしいのが農家民泊を営むことではないかと感じている。
水田家を訪問したとき、目にとまるのは暮らしのなかにあるアート感覚。そして、保存食などの手づくりの品々。保存用のビンも多い。お金を使わない暮らし。使う必要も余りなく、それでいて、どこよりも贅沢な暮らし。そんな最先端な暮らしがいま、限界集落と呼ばれているこうした村のなかにこそあるのかもしれない。
●新しい伝説
水田夫妻が住む地域には「大蜘蛛伝説」という言い伝えがあり、毎秋、「甘酒講(こう)」という村の神事がおこなわれる。
「大蜘蛛伝説」とは何か。その昔、大きな蜘蛛が村にやってきて悪いことをして、村人は困っていた。近隣の弓の名手がそれに矢をいり、退治した。村人は弓の名手に感謝し、いまもその一族を丁重に招き、甘酒の接待を秋にする習わしだという。
裕之さんもさかえさんも村人が大好きで、お年寄りの話に耳を傾ける。
ねむの木の葉っぱを揉むとせっけんのように泡立つと村のおばあさんは話す。さかえさんはそうした知恵をどんどん吸収していきたいという。教えるほうもきっとうれしいことだろう。
周囲は持続可能な暮らしを教えてくれるよき先生ばかりだ。限界集落と呼ばれる地に新しい人が移住することで小さくとも新しい伝説が生まれていく。そんな予感がしている。
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